「そろそろ頭打ち」という感覚は正しいか

単身世帯が増えている。ここまでは、通説というより常識に近い話です。ただ、多くの人はこうも思っていないでしょうか。増えているのは都市の若い未婚層の話で、伸びはそろそろ頭打ちだろう、と。先に答えを言ってしまいます。一般世帯に占める単独世帯の割合は、2020年の総務省統計局「国勢調査」で38.1%です。四割弱、五世帯に二世帯に迫る水準まで来ています。そして「頭打ち」の感覚は、少なくともこの統計の上では確認できません。

一次データで測る——四半世紀の推移

FIG.1単独世帯の割合(一般世帯に占める割合・全国)単位: %
出典: 総務省統計局「国勢調査」(1995–2020)

比較できる系列の起点は1995年です。このときの単独世帯の割合は25.6%でした。ざっくり言えば、四世帯に一世帯です。それが2020年には38.1%になりました。差にして12.5ポイント、倍率でいえばおよそ1.49倍です。

途中の経過も見ておきます。起点のあと、割合は27.6%、29.5%、32.4%、34.6%と刻んで、38.1%に至ります。総務省統計局「国勢調査」は五年に一度の定点観測ですが、この六時点のあいだ、割合は一度も下がっていません。最小値は起点の1995年、最大値は直近の2020年。谷が過去に、山が現在にある形です。

もうひとつ、読み違えやすいところを先に断っておきます。これは世帯を単位にした割合であって、人口に占めるひとり暮らしの人の割合ではありません。単独世帯は定義上ひとりですが、それ以外の世帯には複数の人がいます。なので、ひとりで暮らす「人」の割合は、世帯ベースのこの数字より低くなります。ひとり暮らしの読者が自分の位置を測るなら、「五世帯に二世帯に近づいた」という世帯単位の読み方が正確です。

意外な一点——最大の伸び幅は直近の五年にある

通説が見落としているのは、増加の「ペース」です。五年刻みの伸び幅を時点ごとに比べると、いちばん大きいのは、いちばん新しい区間。つまり34.6%から38.1%への五年です。伸び幅はおよそ三・五ポイント。系列の全期間を通じて、これを上回る変化はありません。

長く続いた増加はいずれ減速する——多くの社会指標で見慣れた形ですが、この数字に限れば、観測されている範囲でその形は現れていません。増加は緩むどころか、最新の区間で最も大きく動きました。

背景としては、若い層の未婚化に加えて、高齢期にひとりで暮らす人が増えていることとの関連が指摘されています。配偶者と死別したり、子どもと別居したりした後も、そのまま単身で暮らし続けることが増勢を支えているとされます。単身世帯の増加を「若者の現象」として語る通説は、この数字を動かしている部分を取り違えているのかもしれません。ただし、この系列からわかるのは家族類型の割合までで、単独世帯の年齢構成まではわかりません。どの層が押し上げているのかを確かめるには、別の集計が要ります。

「標準世帯」という言葉は、長いあいだ夫婦と子どもからなる世帯を指してきました。でも、一般世帯の四割弱がひとりで暮らす社会で、標準はどこに置くべきなのでしょうか。数字が示すのは、置き場所が動いたというところまでです。どこへ動かすべきかまでは教えてくれません。次の調査時点で、この列には新しい点がひとつ加わります。伸びが続くのか、初めて緩むのか——それはまだ観測されていません。

この数字の読み方の注意

本稿の数値は、総務省統計局「国勢調査」の「世帯の家族類型(16区分)別一般世帯数及び世帯人員」を、家族類型の「新分類区分」で集計した表から算出しています。この区分で比較できるのは1995年以降だけで、それより前の時期との接続はこのデータではできません。また調査は五年に一度なので、時点と時点のあいだの動きは捉えられません。ここで読めるのは連続した曲線ではなく、五年おきの時点間の比較です。分類区分の異なる集計と数値を直接突き合わせることも避けてください。